数学が苦手な私を数学が得意に変えた1問を考える!
こんにちは。アインシュタイン太郎です。以前のブログ記事で数学が苦手だった私がたった1つの問題をきっかけに数学が得意になった話を書きました。詳細記事は以下になります。
参考) 数学が苦手な私が一瞬で数学が得意になった1つの問題との出会い
今回の記事ではそのときのきっかけとなった問題の具体的な解き方についてより詳しく扱っていこうと思います。
問題は以下のものになります。
【問題】$y=x^2$ へ点 $(3,5)$ から引いた接線の方程式を求めよ。
では具体的に解いていってみましょう。ちなみに二次関数くらいまでを学習済みなら解ける解法もあるので、チャレンジしてから記事を読むのもありです!
【解き方1】教科書の解き方はこうだ!
ではまず教科書に載っているような解法から記載してみます。ちなみに本問題がはじめて登場するシーンは一般的には数学Ⅱの微分を学習した段階になります。なので教科書の解法はそのような流れで解いています。
具体的にはまず $y=x^2$ 上の接点を $(t,t^2)$ と設定します。
関数を微分すると $y’=2x$ となり、$x=t$ における接線の傾きが $2t$ になります( $x=t$ を $y’=2x$ に代入)。
すると接線の方程式は直線を求める公式で
$y-t^2=2t(x-t)$
となります。
計算をして
$y=2tx-t^2$
が接線の方程式です。
あとはこの接線が $(3,5)$ を通るので、代入して式を整理すれば
$t^2-6t+5=0$
$(t-1)(t-5)=0$
$t=1,5$
として $t$ が求まるので、あとは接線の方程式に求まった $t$ を代入すれば答えは
$y=2x-1$ または $y=10x-25$
となり、求める接線が求まりました。
さすがに教科書に採用されている解法とあって、非常にスマートですね。ひとまずは自身で設定した文字 $t$ を使って接線を表現しきった後に、通る点の処理は最後に代入という形で終わらせています。
ただ当然のことながら解法は多岐に渡り、これは一つのやり方でしかありません。
【解き方2】私の解き方はこうだ!
では次に、以前のブログ内容で書かれていた私の当時の解き方を解説してみます。
まずは先ほど同様に接点を $(t,t^2)$ と設定して、この点における接線の傾きは $2t$ です。ここまでは【解き方1】と全く同じになります。
次にこの接線は $(3,5)$ を通っているわけなので、当然 $(t,t^2)$ と $(3,5)$ を結ぶ直線の傾きは接線の傾きである $2t$ に等しいです。なのでそれを式として書けば
$\displaystyle\frac{t^2-5}{t-3}=2t$
となります。
あとはこの式の両辺を $t-3$ 倍して整理すると、先ほどと同様の
$t^2-6t+5=0$
となるので、これを解けば $t=1,5$ として $t$ が求まり、後は先ほどと同様の接線を求める手順で接線が求まります。
これが当時の私の解き方です。ちなみに上記の解き方では省略をしていますが、一点注意があります。
それは本来
$\displaystyle\frac{t^2-5}{t-3}=2t$
が登場する直前で、$t\neq 3$ として場合分けをして $t=3$ は別に考えなければなりません(分母が0は定義できないので)。
ちなみに $t=3$ ですと、はじめに置いた接点 $(t,t^2)$ は $(3,9)$ になるので、$(3,5)$ を通る場合は $x軸$ に垂直な $x=3$ という直線になり、これは $y=x^2$ の接線にならずに不適です。
ということで、確かにこれでも答えが出るわけですが、今回の状況なら教科書の解き方の【解き方1】の方が私の解き方の【解き方2】よりも場合分けなどがなく優れていることが分かります。教科書に採用されている解法にはこのようにして、意味があって採用されていることが確認できます。
しかしながら重要なことは、例え面倒であっても「自分で考えて解けた」ということの実感が数学の学力を伸ばすということなので、教科書の解法などもただ鵜呑みにしているだけでは私は数学が苦手なままだったと思います。
【解き方3】私の生徒さんの解き方はこうだ!
さて次にせっかくなので私の担当していた生徒さんが解いた1つの解き方を紹介してみます。
その生徒さんはまず接線を $y=ax+b$ と置きました。
これが $(3,5)$ を通るので
$5=3a+b$
が成立します。
次に $y=ax+b$ と $y=x^2$ を連立して整理した式を考えます。それが以下です。
$x^2-ax-b=0$
この二次方程式は $y=ax+b$ と $y=x^2$ が接しているわけなので解を1つしか持たないため、判別式が0になります。
つまり
$a^2+4b=0$
です。
これで先ほどの式と合わせて、$5=3a+b$ と $a^2+4b=0$ の2つの式が出来たのでこれを連立すれば( $5=3a+b$ を $b=-3a+5$ として代入するなど)、$(a,b)$ の組み合わせは
$(a,b)=(2,-1),(10,-25)$ として求ます。
よって接線が
$y=2x-1$ または $y=10x-25$
として求まります。
これも良い解法ですね。少なくとも私の解き方の【解き方2】のような場合分けなどは発生しません。またこれは微分を使わずに2次関数のみの知識で解いているのも特徴です。一見【解き方1】や【解き方2】よりも使う知識も少なく良い感じですが、実はこれにはこれでデメリットもあります。
この解法のデメリットは接点が答えと一緒に出てこない点です。【解き方1】と【解き方2】では接点を最初に置いているので $t$ が出ると同時に接線も接点も出ますが、【解き方3】は接点を出すには連立した式を再度 $x$ について解くというステップを踏みます。
このように考えるとやはり教科書解法の【解き方1】は「ただ単純にこの問題をスマートに解くという意味では」、働きは良いことが確認できます。ただあくまでその限定されたシーンのみで働きが良いということです。
【最後に】あなたの解き方はどうする?
ここまでで色々な解き方を詳しく扱ってみましたが、ここで非常に重要なことは教科書の解き方はあくまで「その問題のみをその条件化で解くときのみ良く機能する」ということです。
つまり問題の状況によっては【解き方2】や【解き方3】の考え方の方がよく機能することは多々あります。
本ブログ記事は「数学が苦手だった私がたった1つの問題をきっかけに一瞬で数学が得意になった話」の問題自体の詳細解説記事ですが、重要なことは数学はその人の考え方次第で色々な解き方が出来るという点にあります。
皆さんならどのようにこの問題を解くでしょうか?
「自分で考えて解く」、これをしっかりと実感することが唯一の数学ができるようになる方法だと思います。
私がこれまで教えてきて数学な苦手という生徒さんの多くはせっかく解法までたどり着く考え方を持っているのに、自分でこれは無理そうと諦めて自分の考え方を捨てて教科書や参考書の解法を学ぼうとする人です。
これまで自身が「これは無理そうだな」と諦めていた解法でも解けるかもしれません。それが数学を得意にさせてくれます。諦めずに考えたり、その考え方で解けるかなどを先生や周りの人にも話してみましょう!
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